どーもどもっちゃって14 〜吃音 & 難病の兄妹会議〜
△旦那さんの実家で「おわら風の盆」に行って来ました^ ^。
またまた久しぶりの更新になってしまいました…^ ^;。長女が中学生になったこの夏は、いつもに増して忙しかった気がします。
お盆近辺は豪雨だったり暑かったりして体調管理が難しかったですが、おかげさまでチーは元気に夏を越しました。そして再燃した時に増やしたステロイド、やっと1mgずつの減量がスタートしました。増える時にはドーンと一気に倍以上になるのですが、減らすのは1mgずつ慎重にやります…^^;。
さて、今日は吃音ニイニと難病チーの会話をこっそり聞いたお話…。お互いの病気(吃音&小児MG)について、詳しくはないにせよ意識はしている二人です。
チー(薬を前にして…)
「もうお薬苦いの、やだ!もう病気やだ!」
ニイニ
「に、苦いんだよね、それ」
チー
「すっごい苦い!オェーって感じ!注射も嫌だし!3本も抜くんだし!」
ニイニ
「ふぅん……。で、でも。チ、チーちゃんは全然病気ってわからんよ。く、薬飲んでんの知らなかったら、病気なんかないみたい」
チー
「そうかなー」
ニイニ
「うん。絶対、分からんよ。お、俺のき、吃音は治らんって言ってたよ」
チー
「誰が?」
ニイニ
「ことば教室のセンセ。治らんけど、って言うか、治らんから、れ、練習して、自分でしゃべれるようになるようにするんだ。…けど、吃音は毎日だよ。しゃべるのって毎日じゃん」
チー
「うん」
ニイニ
「お、俺、3秒ルールっての、作ってんの」
チー
「なに?」
ニイニ
「話そうとして。さ、3秒数えても出てこなかったら、やめんの」
チー
「どうやってやめるの?」
ニイニ
「「まぁいいや」って言う時もあるし、「忘れた」って言う時もある。とにかく3秒って決めてんの。3秒でやめんの」
チー
「どうして?」
ニイニ
「自分にイラつくから。ウーーーってなって、力が入ってさー。嫌になる、もう」
チー
「そうかぁ」
ニイニ
「ち、チーちゃんはさ。薬は苦いし注射も大変だけど、俺、思うんだけどさ。吃音の人は「これを飲んだら絶対に治る」って薬があったら、ぜ、絶対に苦くても飲むと思うな」
チー
「……」
ニイニ
「い、1回だけ魔法が使えたら、その魔法も使うと思うな」
チー
「なんて?」
ニイニ
「みんなの吃音と病気が治りますように…にするかな。そしたら、俺だけじゃなくても治るからさ。チーちゃんの病気も治してあげる」
チー
「やった!」
ニイニ
「く、クリスマスのプレゼントだってさ。何年分かで治るなら、お、俺、プレゼントいらんわ。治してくださいってサンタに言うわ。そしたらイラつかんでいいし」
チー
「サンタさんって治せるのかなぁ?」
ニイニ
「で、でもさ!た…ぶん無理だろうね(笑)。だ、だってサンタにお願いして治るなら、吃音の人いなくなるよ、きっと」
チー
「それもそうだねぇー」
最後はフフフフ…と二人で平和に笑い合っています。
最近、彼の吃音は調子良いように思えていて、3秒のルールも全然知りませんでした。私はふたりの話が聞こえていたんだけれど、口は出さずに耳だけダンボで。
そっかぁ…聡悟がしょっちゅう「まぁいいや」とか「やっぱやめた」って言ってるの、ただの気まぐれだと思ってたけど、出てこなかった時なんだなー。
8歳なりに、逃れられない「吃音」という自分の体のもった特質?クセ?を見つめようという姿勢を持っていて、素直に話せる妹がいるというのは良かったなぁと思いました。
3秒経って言えなかったたくさんの言葉、それはきっと他愛ないものだと思うんです。今日は暑かったね、とか、夕飯なぁに?とか、先生がこんなこと言ったんだ…とか。んっ!って力が入って、1、2、3秒…と数えて、「ん?なんだって?」って私が聞き返した時には「もういいや」ってなってたんだね。
それは私には知り得ない痛みだし、「そんなこと言わずに、待ってるから話してよ」…と言うのは簡単なんですが、なぜだか私はそう言う気になれませんでした。吃音にコントロールされる人生を送るか、吃音をコントロールしながら人生を送るか…当事者以外にはピンとこないけれど、きっと全然違うと思います。そして、彼は幼いなりにコントロールしながら生きる道を模索中なんですね。
難病の妹と、「魔法で何とか出来るなら?…でも無理だよねー」って笑いながらそれを想像するのは、たとえ叶わなくても無意味ではないと思うし、もし叶うならみんなのことも治してあげるんだ…と、そういう「優しさ」を伸ばしていってくれたらいいなぁ、と願う気持ちです。
もちろん、病気に見えないからこその悩みもあるし、それぞれの大変さは比べるようなものではありません。どちらが大変か、なんてナンセンスかもしれないけど、治療法が確立されていないし、吃音者のとりとめない不安感やいら立ちは「病気」というカテゴリーに入れるのも難しく…。
命に関わらないため、当事者が悩んでいても「気にすることないよ!君は君だよ!」なんて、軽く言われてしまうことも多いんでしょうね。でも相手に悪意がない以上、真摯に向き合って伝えるか、まぁ分からんだろうなーと笑ってしまうか。本人がその都度、自分を汚さない方法を選んでいかなくてはなりません。
私たち、身近な大人が出来ることといえば、チーがしていたようにただただ聞いてあげることなのかもしれないなぁ。卑屈になったり、吃音のせいで人生がダメになった、と思わないですむように。優しいところを伸ばしていけるように、自分に苛立って気持ちが暴れないですむように。
(ふぅ、無力じゃのぅ…)…と思いつつ、親ってのが無力だと知るのは大切なことなのだ…と背筋が伸びた次第です(笑)。